3月で満開だった「夢のカリフォルニア」 [堂本剛]
開花宣言が早いとの発表があると思い出すのは、
2002年の春も早かったこと。
「夢のカリフォルニア」のドラマのロケが3月には雑誌で公開され、
満開の桜の中での主人公達が繰り広げる青春像に期待が高まっていた。
ドラマの中の「山崎終」を等身大で演じ大学生で、就活に苦戦する
心優しい目立たない三流大学生を堂本剛が肩の力を抜いた演技で淡々と話しが進むドラマでした。
初回の第一話、目前で高校の同級生が投身自殺をするという共通の経験を経て
クラスメイトの3人の自分探しがスタート。
エンディング曲が流れた瞬間「街」を聞いたときに奇跡が起こったと思った。
シンガーソングライターとしての初めてのソロワークデビュー曲は今聴いてもカナリ、やばい。
堂本剛の原点ともいうべき思想はこの曲「街」にある。真面目なのだ。今もあの頃も真面目なのだ。
ドラマは真面目な話しが延々と続く
命の扱いいじめられる子と弱者の味方を演じる優等生な自分への自己嫌悪持つ二人の女子同級生。
恋愛抜きでの仲間との繋がりの在り方
リストラされた父親の厳しい現実
エリートビジネスマンの挫折と根の無い恋愛観
小説家を諦めきれないしがないサラリーマン
会社の将来を思い、きびしい質問と選択をせまる面接官
だからこそ「カリフォルニア」へ逃避を夢みる主人公たち
主題歌「夢のカリフォルニア」
CALIFORNIA DREAMIN
ママス&パパスの名曲
ヒッピーで一年中の青空と太陽、潮風の中で暮らしたいと願う
東部北米人の「夢」がある。
ママス&パパスのNY中心の音楽活動は美人なヴォーカル、ミッシェルの心がズタズタにする
メインヴォーカルのママキャスの早すぎる死などもあり
プロテストソングとしても「痛みのある歌」のイメージが濃い
脚本家のがこのタイトルを選んだ理由は不明だが
このドラマを放映中には「共感」を得られるような反響は無かった
すでに「ヒッピー」も「フラワーチルドレン」も存在せず
「プータロ」更に「ニート」と呼ばれる学校へも就職もしていない
「夢」とは無縁の若者たちが蔓延していたのだから。。。。
浮かれていたんだと思う
いずれ7年後の2009年にはおよそ30%の人が
明日に不安を持ち暮らしている時代が待っているとは
思っていない時代だった。
どこか「人ごと」で見ていて、主人公の深刻さを遠巻きに眺めていた。
桜の花が早すぎるとあの2002年を思い
堂本剛の一人立ちが重なり
白シャツとデニムという衣装のPVが
シンプルで頼りなく、まさにステージ衣装という『鎧」を脱いだように思えた
脱皮を繰り返す蛇のように、成長をしたい人間を止めることが出来ないことを
思い知らされる。
あの時に遭遇した「山崎終」は今よりもっと大人で静かで
実年齢より上に見えていた。
23歳はドラマの役の年齢とほぼ同じ
あの頃の堂本剛に会いたいのなら
DVDでいつでも会える。
山崎終は役名だけで堂本剛そのものを記録しているドラマだった。