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[ゆれる] [イベント報告メモ]


                                                                                  (C)2006「ゆれる」製作委員会

ゆれる

試写会のチケットを入手
西川美和監督の背後に企画に是枝裕和監督がいる

「兄弟の確執」
感情の行き違いの根底にあるのは個人の体験上にストックした曖昧な記憶。
同じ場所にいても今までの経験が見方を変えることを思い知らされる映画でした。
だから・・・・いつも自分に正直に捻じ曲げない経験を積み上げることの大切さを知る。
長男、次男、の立場の違い。
親から受ける待遇の違い。
回りから決めつけられる自分への期待の違い。
実家を離れてからの作り上げる独自の環境の違い。
どんな時間をそれぞれ過ごしてきたかで
同じ場所で遭遇する「事件」にも自分だけのシナリオが存在する。
(実際には観客ひとりひとりにもシナリオがある)
それが悲劇の結末を生む

二組の兄弟の対比が面白い
実直で心の優しい兄
奔放で田舎を嫌う弟

頑固で高圧な古い父
分別ある弁護士の叔父

それぞれの見解でシーンが成り立ち納得しては
違う立場からのシナリオのシーンに説得され・・・
ゆれる・・・ゆれる・・「事件」の起きたつり橋のようにゆれ動くシーン展開
不安定で危険が付きまとう吊り橋のように。


                                    (C)2006「ゆれる」製作委員会
監督が自らの脚本で撮るという映画は珍しいそうだ。
だからこだわるし役者も120%の思いもしない、見たことのない面が見られて面白い。
役者自身も脚本家希望で役者自身が監督志望の二人が兄弟を演じてるのは
作り手側の「客観視」が徹底できるだろう。
伊武雅刀、蟹江敬三が固めるのだから面白く無い訳がなく、見る側の期待のハードルも高い。

映画で演技ではなく「後頭部」で泣いたのは「ポンヌフの恋人」ミシェル・スタランス
今回は「背中」で兄の「洗濯ものをたたむ」しょぼくれた背中にどっときた。
<優しい嫁さん見つけて、そんな事してもらいなよ・・・>

兄の心に住む優しい嫁さん候補と知りながら
「アンちゃん上がったの?」ひとり住まいのアパートに上がりこみ彼女を奪う弟
女には東京へ逃れる希望を抱かせる危険な関係となる
<東京の生活の延長線上の後先を考えない行動、田舎に持ち込むなよ・・・・>
                             
                                     (C)2006「ゆれる」製作委員会
つり橋で女が兄に突然背中にしがみつかれた時観客から「ヒェッ!!」の声が多く漏れた
東京に憧れ、自由な暮らしに歩み始めようとした彼女にとっては
田舎の安穏とした暮らしが追いかけてきて<捕ちゃった!・・・>と思わされた瞬間です。
 
                  (C)2006「ゆれる」製作委員会


                   (C)2006「ゆれる」製作委員会


                   (C)2006「ゆれる」製作委員会
終盤で兄弟の真実をとりもどすのは母親の残した8ミリ映画
かなり前出の形見分けシーンで
「母ちゃんの趣味はお前が引きつでいるから、お前のために残しておいた」と
兄から渡された古い映写機とテープ
あのつり橋での幼い頃のピクニックや、父親との触れ合いを都合よく記憶から消してる弟に
現実を見せ付けられるシーンに登場します。


               
                       (C)2006「ゆれる」製作委員会
弟の決定的な証言により殺人犯とし7年の服役を課せられた兄。
7年経ってようやく母親が記録し残しておいた8ミリフィルムを回し家族のありのままの姿を見る。
そして知る「兄の本当の優しさ」「父の二人の息子への愛情」「温かく見つめるレンズ越しの母の視線」
出所する当日兄を無我夢中で向かえに行く弟。
ふたりの間に吊り橋を渡る前の関係が取り戻せるか・・・・・・
行き違いで迎えが無駄足になる。
やっと見つけたバス停でバスを待つ兄に国道越しに大声で兄を呼び続ける弟。
見咎め微笑む兄。
「甲府駅行き」バスが到着し画面暗転
その後までは写し出されない。
やな監督です。

香川照之さんここでも映画の印象を全部持っていく「微笑み」の演技で終了。
<最後の最後に大逆転のシーバの愛の深さを見せられる、故郷の香り、思い出させるね・・・>

是枝監督が見出した新人女性監督の話題の長編2本目の映画でした。
是枝監督の「花よりもなほ」に「悪の連鎖を断ち切る勇気」を教えてもらったが

西川監督の「ゆれる」には「自分が自分でいる為には一瞬の真実を見逃さないを重ねること」
を教えてもらった。

洞察力、人間観察力、は人そのものを表すんだな~~。とね。

物語にエンディングをつけるなら自分ならどうするか。


停車したバスからは一人の中学生が下車し立ち去る。
兄の姿はバス亭には無く、入り口付近から乗り込み着席しかすかに頭下げを
国道越しの弟に会釈をしてるが顔は下をむいたまま。
もう目線は向けない。
兄に拒否された事で我を忘れる弟
追いかけてきたスタンド従業員が運転する車に乗り込む弟
 猛    「人違いだったあんちゃんじゃなかったよ」
 従業員 「帰れば会えるさ、稔さんの戻るところはあそこしかないんだから」
10年後
東京用賀でギャラリーカフェ「Swing」でコーヒーを入れている兄
店内には「早川猛」の写真のパネルが数点
静かに流れるジャズ
店内入ってくる子ずれの買い物帰りの女性
 女「この子お昼食べさせたら店に戻るからお願いね」
 兄「ああ」
場面は変わり甲府の早川ガソリンスタンド
父親の目は空をさまよい猛のされるままに従い縁側の椅子に座る
父親の介護を済ませ職場に戻る猛
客の車に給油する従業員を横目にしながら
新たに給油をしにくる車を誘導する猛
猛「オーライ、オーライ」
手招きをする猛
背後に取ってつけたようなカフェコーナーが新設されてる
店内「吊り橋」の写真パネルが写し出される。

END
陳腐だ。

ゆれる

ゆれる

  • 作者: 西川 美和
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 単行本

ゆれる

ゆれる

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2007/02/23
  • メディア: DVD
 
花よりもなほ 通常版

花よりもなほ 通常版

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2006/11/24
  • メディア: DVD

花よりもなほ

花よりもなほ

  • 作者: 是枝 裕和
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/06/03
  • メディア: 単行本


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